2020 May. 26

ざわめくナースステーション

ボクには「理事長」や「頭取」というユニークな友人がいるが、取りわけ面白いのが超能力を持った坊主。

何か胡散臭く感じるだろうが、ボクはその能力を信じている。どうしてそんな能力があるのかは謎だが、ボク以外にも彼を信用している信者は多い。そして、彼はその能力をビジネスにしていないところが好感が持てるポイントなのである。

昔、母が癌の再発で入院していたとき、容体に変調をきたしたと担当のドクターから連絡があり、もしかしたら…できればご親戚に連絡してくださいと…。その時、ボクは友人の坊主に連絡し、病院から危ないと連絡があったけど、どう?と尋ねた。彼は電話口の向こうで一瞬の沈黙があり、そして、「今回は大丈夫と思う」と一言。その言葉を信じ、親戚には連絡をせずにいた。

その後、しばらくしてもう1度ドクターから連絡が入ったが、やはりその時も彼は大丈夫と言い切った。「じゃ、いつ頃が危ない?」と思い切って尋ねた。そこで彼が静かに言ったのが、「お彼岸が終わって1週間。9月30日か10月1日くらいが山場かな」。え〜、そこまで言い切るの…。ってことは余命、あと2週間くらいか…

母との最期の2週間をどのように過ごしたが、ほとんど記憶はないが、多分普段通り接していたと思う。9月30日が何事もなく過ぎ、そして、10月1日。その日の朝、母が「もうダメみたい…」と呟く。(キタ〜!)彼の予言の日、母の初めての弱気発言。ドクターを無視して、親戚中に連絡。その日の午後、母は静かに息を引き取った。当てやがった…母の亡くなる日を当てやがった…それ以来、彼には超能力があると固く信じている。

その後、いろんなことに彼を頼り、多くの相談をした。困ったときは念を送ってくれと無茶ぶりもした。今回の入院を彼に伝えると、時間を見つけて見舞いに行くよと言ってくれた。

その彼がボクの見舞いにやってきた。謎の発熱前の少し元気になっている頃だった…。ま、見舞いのタイミングはよかったのだが、ちょうどお彼岸の時期で檀家を回っている最中に時間ができたってことで病院を訪れてくれた。

有難いのだが、如何せん坊主のユニホームである袈裟姿で颯爽と登場したもので、ナースステーションはざわめいた。そりゃ、そうだ。病院に本物の坊主が来れば、一体何事かと思うのは当然の事である。

坊主のユニホームである袈裟姿
ざわめくナースステーション

病棟のデイルームで久し振りに友人の坊主と再会。チョイと変わり果てた情けない姿を晒す。たわいもない世間話の中で、「ボクはいつまで生きる?」と直球の質問をぶつけてみる。しばらくの沈黙の後、「70歳までは大丈夫じゃないかな」と…。自分の考える予後5年と同じか…やっぱりそうだよなぁ〜と思っていると、「70歳でもう1回見れば寿命は伸びているかも」とフォローが入る。

なかなかステキな友人である。

 


 
 
 
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